2017年6月17日土曜日

嫁の妊娠35 ~痴漢する人は、結局スリルを楽しみたいのだろう~


嫁は大きくなってくるお腹を抱えて、平日は会社に行っている。

勤務地は東京のど真ん中にあるので、満員電車に出くわさないように時間をずらして出勤している。

会社は19時に退社していいが、すぐに電車に乗るととてつもない満員電車に出くわすので、20時とか20時30分とかにずらして乗っている。

そして金曜はママさん教室があるので有休を使って休んでいる。

そのママさん教室にも、現代の経済事情を表すかのように、嫁と同じく共働きの妊婦さんが多いという。

その中の1人の妊婦・Aさんが、痴漢に遭った話をしたという。

なんでも、新高円寺に勤め先があるAさんが、その日は仕事が早めに終わった。

15時ぐらいだったので買い物でもして帰ろうと思い、新高円寺から高円寺に向かう商店街の坂道を歩いていた。

Aさんは嫁よりも出産予定日が早い。

つまり、嫁よりもお腹が大きい。

なので、ゆっくりとのんびりと、えっちらおっちらと歩いていた。

するとそのとき、「えっ!?」と驚いた。

左の胸を誰かに鷲掴みにされた。

一瞬の出来事だったので、すぐには痴漢だとはわからなかったという。

鷲掴んだ犯人は自転車に乗っており、背後から迫ってきて、追い越す瞬間に左の胸を1回鷲掴みして、その勢いのまま加速して逃げた。

呆気にとられたが、数秒して痴漢だと気づいた。

痴漢がAさんを妊婦さんだと知っていたのかはわからないが、もしAさんが驚いて転んでお腹の子に万が一のことがあったりしたら取り返しのつかないことにもなりうる。

とても危険な行為であり、絶対に許すことはできない。

Aさんは、他にも被害者が出てはいけないと思い、近くの派出所に被害届を出したという。

すると、同じような痴漢被害が近くですでに3件もあったとのこと。

そんな話を聞いていて、ボクは、『そもそも1回胸を鷲掴みにすることで何が満たされるのだろうか』との疑念が生まれた。

白昼堂々の現行犯。後ろ姿だとしても確実に見られる。

周囲にも人がいただろうし、Aさんが大声で「痴漢です!」なんて叫んだらその先にいる人に顔を見られる可能性だってある。

そんなリスクがありながらも、真っ昼間に『胸を1回だけ鷲掴みしたい!』という欲求に勝てない。

それはやはり、胸を揉みたいのは二の次で、〝オレ、こんな真っ昼間に痴漢したぞ!〟というスリルを求めているのだろうと思う。

たまに特番でやる万引きGメンがつかまえるおばちゃんの言い分と同じだろう。

おばちゃんは女子なので痴漢ではなく万引き。おじさんは痴漢。

人生のウップンをスリルで晴らそうとする。

でもそんなおばちゃんもおじさんも、捕まったときにはどうにか逃げようと必死になる。

スリルの代償が大きいことはある程度わかっているはずなのに、万引きも痴漢もなくならない。

ちなみに、ボクも数ヶ月前、電車の中で痴漢を見た。

満員電車より少し空いている状態の中、痴漢はリュックを胸の前に抱え、吊革につかまって寝たふりをしていた。

ただ、寝ているはずなのに、必ず若い女子の正面に立つ。

そして寝ている揺れを使って、リュックを抱えている肘を、その女子の胸に当てようとしていた。

初めは本当に眠いのかと思ったが、駅に着く度に1回降り、また乗りこんでくる。

それが何回もあり、乗りこんでくるときは必ず若い女子の正面に立つ。

もしバレたときに、『寝てて身体がたまたま揺れて、たまたまそこにあった肘が、たまたま胸に当たっただけだよ』の言い訳を企んでいるのが見え見えだった。

痴漢かも、と気づいた女子が身体をずらすが、痴漢も同じように身体をずらして女子の前に行く。

というわけで、3つ目の駅から出発するとき、ボクは痴漢の近くに行った。

例のごとく、痴漢の前には若い女子。

電車が走り出すときに、ボクはその女子の前に割り込んだ。

ボクは吊革を持ち、薄目を開けて寝たふりをする。

そして最初の電車の揺れで、吊革を持っている腕を曲げ、痴漢の顔面に勢いよくエルボーを食らわせた。

痴漢はボクを見る。が、ボクがガチでケンカするときの目で睨んでいたので、痴漢だと気づかれたと気づいたらしく、痴漢はそのまま寝たふりを続けた。

ボクは電車が少しでも揺れる度に痴漢の顔面に強めのエルボーを食らわせた。

痴漢も身体をずらして逃げようとするが、それに合わせてボクのエルボーも移動。

『寝てて身体がたまたま揺れて、たまたまそこにあった肘が、たまたまお前の顔面に直撃しただけだよ』の言い訳を企んで。

まぁ、ボクはガタイがデカいので、そうそうケンカをふっかけられることはない。

ふっかけられたところで、負ける気もしない。

そんなこんなで、次の駅までの2分の間に、合計10発ぐらいのエルボーが顔面にはいっていた。

痴漢はそそくさと降り、出たところで振り返ったが、ボクのほうが睨んでいたので、別の車両には乗らなかった。

でもそんなことで解決にならないことはわかっている。

あいつはまた同じことをやるだろうと思う。

スリルへの欲求が人間に備わっている以上、仕方のないことなのかもしれない。

んー、難しい問題。

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