2017年5月31日水曜日

嫁の妊娠22 ~安くて美味しいお米、見つけました~


以前もここで少し書いたが、妊娠21週目を突破した嫁の食欲がなかなか凄い。

知らない人が見ればそこまで食べているとは思わないだろうが、妊娠する以前よりも食べているような気がする。

お腹の体積、胃の体積は減っているはずなのに。

昨日の晩御飯は嫁が買ってきた豚ロースの味付けステーキと、モロヘイヤの味噌汁、そら豆とみじん切りゆで卵とハムをマヨネーズで和えたサラダ。

キャベツの千切りもたんまりと切ってやる。

基本的に、ボクが夕食時に家にいるときは、嫁が食材を買ってこようがメインどころはボクが作ることになる。

なぜかはわからないが、同棲のときからこの風習は続いている。

そんなわけで昨日も、嫁はサラダをチャチャっと和えて作り、ボクが豚ロースのステーキを焼く係り。

まぁボクは料理が得意ではあるので、美味しく焼ける。

そして嫁もそこまで料理が下手なわけではないので、調味料はマヨネーズだけのサラダも普通に美味しいのはわかっている。

そうして豚ロースを焼こうとした、そのとき!

米櫃の中のお米が、10粒ぐらいしかないことが判明した。

ボクら夫婦の買い忘れランキングでも、箱ティッシュ、トイレットペーパーに続いて上位に入るお米。

そういえばと、前回お米を炊くときになくなってしまった記憶が蘇った。

いつもの忘れるときはパスタなどで逃げることが多いのだが、今日はダメだ。

ボクは味付け豚ロースステーキを焼く気満々だし、嫁は渾身のサラダをすでに作り終えている。

「冷ご飯、温めて食べる?」

そう言いながら、嫁が少しはかなしげな視線をボクに向ける。

合図は受け取った。

「サクッと買ってくるわ」

嫁は何度か「ホントにいいの?」と引き留める素振りを見せる。外食のときにレジで財布を出すが払う気のない女子ぐらいバレバレだが。

ボクはチャリンコの鍵を手に取り、颯爽と駅前のセイユーに向かう。

食に対するこだわりは、まぁ、ある程度はあるほうだが、お米に対しては、大体どこのお米も変わらないと思っている。

セイユー辺りに売っていれば、一番安くてもそれなりに美味しいだろう、と、1670円の5キロを買おうとした……しかし。

ボクの特性と言うか、近くに同じようなスーパーがある場合、両店での値段と質を見比べるクセ。

歩いて20秒のところにイトーヨーカドーがあり、一旦は掴んだお米をそっと置いて向かった。

20秒後。

イトーヨーカドーのお米売り場に到着した。

そこで、ボクは少し驚いた。

基本的に、イトーヨーカドーとセイユーでは、全体的にイトーヨーカドーのほうが50円以上は高い。

つまり、セイユーで1670円のお米が一番安かったということは、それ以下はあるわけがない。

しかし、ボクの目に飛び込んできたのは、1580円(税別)『青森まっしぐら』だった。

こういう場合は、悩む。

普段はセイユーより高いはずのイトーヨーカドーが、安い。つまり、品質に問題があるのかもしれない。

以前、高円寺に住んでいるとき、1200円で5キロのお米を見つけて買ったら、ほとんどの米粒が砕けており、初めてマズいお米もあるのだなと学習はしている。

青森まっしぐらの袋の端っこから見える中のお米を確認する。

んー、まぁ、形は悪くない。

ボクは『小さな巨人』の長谷川博己ばりに自分の勘に賭けた。

買ってみよう。青森しまっしぐら。

もし失敗なら、あの高円寺のお米のようにボクが泣きながら食べ尽くしてやろう。

そう思いながら、レジでお米用のタダの袋をもらい、家に帰った。

嫁はボクの葛藤など知らず、テレビを観てケラケラ笑っている。

ボクの賭けに巻き込んでしまったのは本当に申し訳ないが、家族は運命共同体。

爆笑する嫁を横目にお米を洗い、早炊きボタンを押す。大体25分ほどで炊ける。

炊ける5分前から豚ロースステーキを焼き始め、炊き上がりちょうどに合わせる。

そして、いざ実食。

勘に賭けた責任もあり、嫁よりも先に、青森まっしぐらをまっしぐらに食べた。

―――美味いぃ! とんでもなく美味い!!

言葉では表現できないが、昨日まで食べていたお米と何かが明らかに違う。

――いや、ちょっと待て。賭けをしているというアドレナリンがそうさせているのかもしれない。

そんなことを考えていると、

「うわ! 美味しい!! 何、このお米!?」

ボクの舌は間違ってはいなかった。嫁が何のメリットもなくお米を褒めることは絶対にない。

コスパが素晴らしいお米を発見した。

1580円の青森まっしぐら。 良かったら皆さんもどうぞ。


2017年5月30日火曜日

ボクの趣味11 ~旨いサンドウィッチ屋を求めて~



仕事の帰りに、以前から何度か前を通って気になっていた店へ行く。

そう、昼間や夕方には、時折行列にもなっていた店。

オシャレな電飾看板には『しげくに屋 55ベーカリー』と書かれている。

夜の高円寺の路地裏に佇む店の電燈が美しく、思わず足が向いた。

とはいえ、看板の文字デザインにはあまりセンスを感じられなかったが。


ベーカリーということで、もちろんパン屋さん。

閉店時間ギリギリで、外から見るショーウィンドウにはまばらなパンが残っているようだった。


そうそう、ときどきある、店に入ると店員さんが「何にしましょう?」と、店に入る=買うの前提で聞いてくるところもあるが、ボクはそんな店はすぐに出てしまう。どんなに美味しそうなサンドウィッチがあっても。

最高なのは、まったくこちらに関与してこないこと。

特にこの店のように小さい店構えでは、話しかけてくる確率は高い。さらに、閉店間近で売り切りたい、というオプションも付いている。

恐る恐る、頼むからボクから話しかけるまで話しかけないでくれ、とシンジくんばりに心で祈りながら、一歩を踏み出した。

そしてショーウィンドウの前に来て、顔を上げた……良かった。

閉店間近でも、お姉さんは優しい笑顔だけで対応してくれた。

ボクは満を持して声をかけた。


「サンドウィッチありますか?」

と聞く。


想像通りの優しい声が返ってきた。


「あ、ハムカツサンドが最後の残り1つ、ございます」


ほどよく売れ残っている各種オーガニックチックパンの隙間から、ハムカツサンドが顔を覗かせていた。


170円+税。


「よかった。じゃ、それを」


「はい。ありがとございます」


お姉さんがレジへ行ったので、ボクも横歩きしてついていく。


「あの、ハムカツサンド以外のサンドウィッチって、何があるんですか?」


「ウチのサンドウィッチはハムカツサンドの1種類だけなんですよ」


「へぇ~」


会計を済ませ、お姉さんに笑顔で見送られて家路についた。


1種類しかサンドウィッチを置いていないパン屋さん。

サンドウィッチは手間がかかる。パンを作るだけでも手間なのに、そこからさらに作業がいるからである。


それでも、作って売りたいと思わせるほどということ。


1つだけなので寂しいが、まぁ仕方がない。


最後の1つなのだから。


その辺のハムカツサンドのハムよりも2倍~3倍ほど肉厚だ。


カツのお共、キャベツの千切りも挟まれている。


帰り道に歩きながらで申し訳ないが、では、一口――――――はい、22点。


この流れだと、確実に美味しくなくてはならないのだが、どうにもこうにも、申し訳ない。


閉店間際の夜9時に残っていた最後の1つのハムカツサンドであることを凄く考慮してください。

パンはパッサパサだし、キャベツは水っぽいのを通り越してカスカスだし、カツのソースはキャベツやパンに吸われ過ぎてどこかへ行ってるし、全ての水分や油分が蒸発しており、最後は何を食べているのかわからなくなった。


実は、これを書くかどうか凄く迷ったのだが、サンドウィッチのブログを書くと決めたときに、感想は正直に書こうとも決めた。


今度、きちんと作りたてのハムカツサンドを買いに行くと決意して。


『しげくに屋 55ベーカリー』高円寺本店
10:00~20:00(売切次第終了) ランチ営業 日曜営業  TEL:03-5356-7617

2017年5月29日月曜日

嫁の妊娠20 ~新生児はみんな、メガネをかけると笑福亭鶴瓶さんになる説~


先日、嫁が里帰り出産をする病院へ行った時のことを書いたが、文字が多くなってしまって割愛したことがあったので書いてみる。

そこは埼玉の某産婦人科で、初めての人には2時間ほどをかけて院内をくまなく案内してくれるのだが、その途中で、その日に産まれた新生児を見ることのできる場所へも行った。

あの、よくドラマなどである、ガラス張りの中に新生児たちが並んでいる風景。

そこには、10人ほどの産まれたばかりの新生児たちがいた。

男の子は青色の札。女の子はピンクの札がかかっている。

なんというか、ボクは末っ子で新生児に触れる機会といえば、嫁の妹に産まれた姪っ子が最初だったと思う。

とにかく小さい。ただ、これがお腹に入っていて、出てきたと考えると、大きい。

並ぶ新生児たちは、まだ目も満足に開いておらず、ウゴウゴとうごめいていた。

突然泣き出したかと思えば、突然寝たり、何がどうして、招き猫のように手を顔に当ててズリズリしたり。

なるほど、洗濯機のように、見ていて飽きない。これが我が子ならなおさらかもしれない。

そんな中、職業病というか、元々の性格というか、嫁や一緒に案内されていた夫婦たちは、かわいいね~と見ていたのだが、途中からボクには、新生児たちがみんな鶴瓶さんにしか見えなくなってきた。

目が細く、髪の毛もちょろっと生えているだけ。しかもほとんどが、M字ハゲのようになっている。

髪の毛の濃さに多少の大小はあるものの、全員が全員、メガネをかければ鶴瓶さんになる。

我が子が生まれた暁には、小さなメガネを発注して、必ず一番最初の写真でメガネをかけさせて撮ろうと決意した。

産まれて初めての写真が鶴瓶さんというのは、理由はわからないがめでたい気もするし。

そのときには、必ずブログなりにアップします。

産まれてくるまでにはまだ4ケ月ほどあるのでメガネを発注するには充分だし。

最近の嫁は、少しツラかったつわりのときはボクが炊事洗濯の家事を全てと言っていいほどにこなしていたので、その味を覚えたらしく、体調がすぐれない、を理由に甘えてくるようになった。

嫁は気づいていないが、本当に体調が悪いかどうかは、大体わかる。

まぁでも、出産に関して男は何もできないので、そこは騙されたふりをして出来る限りのことはしようと思う。

そういえば毎日食べているオレンジが昨日なくなった。

あ、果物も、安いバナナはあまりうけつけないと言い、イチゴ、キュウイ、オレンジが食べやすいと言う。

単純に食べたいだけだろう、とは思わないことにして、今日はゴールドキュウイを買って帰ろう。

2017年5月28日日曜日

嫁の妊娠19 ~性別が判明した~


先日、嫁が里帰り出産する埼玉の病院に一緒に行って来た。

まずは病院内の説明ということで、23年勤めてます、という案内係の人に連れられて院内を巡る。

ボクらの他には、2組の夫婦がいた。

1組は若めのカップルで、もう1組はお子さんもいて2人目の出産とのこと。

この案内係さん、人当たりも優しく、口調も優しく、常に笑顔なのだが、とにかくかなりの早口。

毎日のことで慣れているのだろうが、聞き取るのが精いっぱいで、前半の早い時点で、『自分たちの気になるところだけを聞くことにしような』と嫁とアイコンタクトをした。

嫁はこれまで自宅近くの杉並区の某産婦人科に通っていたのだが、杉並区では大きいほうの病院で、建物も昔ながらの様相を呈し、医者・助産師・看護師含め、スタッフもちょっと厳しめで教育されているらしく、〈女医さんのみの産婦人科〉という部分だけがメリットだった。

ボクも一度だけ一緒に行ったが、もう少し柔らかい対応をしてくれたらいいのにな、と思っていた。

しかしこの埼玉の病院は、嫁の理想の全てを兼ね備えていた。

まず、とにかく清潔。

建物も数年前に立て直したのだろう、隅々まで妊婦に寄り添った内装配置だった。

早口は聞き流しながら、病院内を進む。

産婦人科に特化しながらも、小児科も併設し、とにかく、産む前から3歳ぐらいまでをこの病院で全てカバーできるようになっている。

さらに、いつでも訪れていい託児所のような案内センターがあり、育児の不安などを聞いてくれる看護師さんも毎日数名常勤してくれている。

2児、3児を産むのにも出来る限り弊害をなくそうとしてくれている。

そして大事な入院部屋。

3人用の大部屋と普通個室、スイートルームのような個室もある。

個室はシャワー室とトイレがついていて、3人部屋にはついていない。

その日は満室で実際に見学はできなかったが、写真や説明を聞く限り、3人用の個室でも充分な広さとプライバシーが守られる。

冷蔵庫もテレビもそれぞれに完備されている。

3人部屋は面会人は部屋には入れないが、カフェが面会スペースになる。

個室は面会人も入れるが、15万円ほど高い。スイートルームのような個室はさらに15万円ほど高い。

まぁ、芸能人などが入るのだろう。

充分すぎるぐらいに3人部屋でいい。

嫁も、3人部屋のほうが寂しくなくていい、と言うし。

ただ、帝王切開の場合は自然分娩の10万円プラスになる。

なんとか自然分娩で行けるように、ギターを置いている棚に祀った水天宮の神様にお祈りしよう。

さらに早口は続き、入院費の説明を受け、最後にコーヒーとゴディバのチョコレートをもらい、全てを見終えた頃には、2時間弱が経過していた。

その間、案内係さんは永遠と早口で喋りっぱなし。

時々、ボクらの誰かをイジッてくるのが若干面倒くさかったが、まぁ、本人が楽しそうだったので良しとしよう。

なんにせよ、心配はある程度払しょくされた。

早口案内のあと、嫁の検診に付き添いつつ、スクリーニングというエコーを見た。

その映像を300円でDVDにも撮ってくれるといい、申し込む。

映像に映し出されたのは、ほぼ、子供の形をした我が子。

頭から、お腹、背中、腰周りなどが映り、お尻の下からの映像になった。

「あれ? オティンティン、あります?」

ボクが言うと、スクリーニング担当の看護師さんがプッと小さく笑って言った。

「これだけはっきり見えてるので、恐らく、女の子ですね」

女の子!!

確かに、何度もお尻を映しても、オティンティンの形跡は見られなかった。

ボクはどちらでも良かったのだが、嫁は「女の子のほうがいいなぁ」と随時呟いていたので、嫁のテンションは上がり、本当に良かった。

そしてやはり、お腹が前に出っ張ってれば男の子、横に広がれば女の子、の定説は、ボクの持論のほうが勝った。

お腹の皮の広がり方に体質というか個性があるだけで、膨らみ方で男女を判別することはない。

医者にも万事順調だと言われ、でも油断せず、10月の出産を待とう。

あ、ちなみに、嫁の検診中に外に煙草を吸いに出たら、早口案内係さんが次のグループの案内をしていた。あれを1日に何度もこなしていると思うと頭が下がる。

2017年5月27日土曜日

小説家になりたい人へ ~小説家になるのは簡単~


以前、放送作家になりたい人へ、とのブログを書いた。

思った以上の反響があったので、今度は小説家になりたい人へ向けての記事を書こうと思う。

ボクは恥ずかしながら、小説も出版させてもらっている。

スタートは、放送作家もある程度仕事の内容がわかってきた25歳ぐらいの頃、「同じ書く仕事なんだかし、小説も書けんじゃね?」 と思いたったのが始まりだったと思う。

しかし、その少し前から、小説も書いてみたいな、との漠然な思いはあった。

ボクが放送作家になりたての頃。テレビ番組のAD(アシスタントディレクター)兼放送作家見習いとして働いていた。

その当時の業界は、とにかくADがやめていく時代。

今は厚生労働省の命令で、だいぶAD業も楽になっているが、それこそ当時はなんでもありだったので、1週間やそこら家に帰れないのは当たり前だった。

放送作家希望で入ったのだが、当時バラエティで流行っていた、芸人にヒッチハイクの旅をさせたり、軟禁に近い状況に追い込んでその経過を毎週放送する番組についた。

放送作家をしたいのならADの仕事も経験しとけ、みたいな感じだった。

芸人を軟禁する企画だったので、週の半分は隣の部屋のスタッフルームと呼ばれる部屋に張り付いて、芸人の動向をチェックしたり、部屋を出られない芸人の代わりに買い物に行ったり、ときには、外出できない芸人の話し相手になったりと、そんな仕事。

まぁ、体育会系のボクにとってはそこまでツラい仕事でもなく、隣の部屋で芸人を横目に見ながら、放送作家としてのネタを考えたり、テレビを観たり、大変ではなかった。

ちなみに、これがロケものだったら相当大変になるのだが、その話はまた今度。

そんな中、ドラマが好きなボクは、TBSの日曜劇場でやっていた豊川悦司&中山美穂のW主演ドラマ『love Story』を観ていた。

豊川悦司さんはスランプで2年も新作を書いていない人気恋愛小説家の役で、中山美穂さんは契約社員として豊川さんを担当する編集者役だった。

北川悦吏子さんの脚本だったのだが、これに当時のボクはドはまりした。

スピッツのテーマソングも良かったし、香取慎吾さんや優香さんなど、脇を固める皆さんも役にはまっていて、とても面白かった。

自分も一応は脚本の仕事もするようになってわかったが、北川さんの脚本も良かったと思うが、それを丁寧に具現化していた監督さんやスタッフの愛が見えた。

その豊川さんの役が、頼りなくもかっこよく、ボクに小説家志望の気持ちが生まれたのだと思う。

前置きが少し長くなってすいません。

とにかく、小説家になりたいと思う人には何かしらのキッカケがあると思うが、ボクが思うに、小説家になれるかなれないかは、1つの要素だと思う。

それは、書き始めた物語は、ちゃんと書き上げること。書ききること。

小説家を目指している人はみんなそうだと思うが、アイデアが浮かび、プロットやメモ書きなどを書き、本編を書き始める。

しかし、エンディングまで書けているモノは、いくつあるだろうか。

ボクにしても、途中で止まっているモノは山ほどある。

そんな中でも、毎日せっせと、10ページや20ページずつでもいい、書き進めれば、必ずエンディングに辿り着く。

書いている途中は、

「これ、いつ終わるんだ?」

と思うコトなんてしょっちゅうで、気が遠くなることもある。

しかしそれでも、歩みを進める。1日5ページでもいい。とにかく書き進めれば終わりが来る。

これは言葉で言うより体感して初めて本当の意味がわかるのだが、1作でもいいから、とにかく原稿用紙300ページ以上の長編を書きあげてみること。

どんなに面白くなくても、これができれば小説家にはなれる。

一旦は書き上げたからといって、完成ではないのは自分が一番よくわかると思う。

あの部分を直したい。誤字脱字がある。あのセリフはもっと後半に持ってきたい……などなど。

どんなに売れている小説家さんでも、100%完成しいました! と言える小説はないと思う。

それでも、何度も見直し、推敲を重ね、1%でも自分なりの完成へと近づける。

ただ、終わりはないので、終わりを作らないといけない。

それが、小説公募。

有名無名問わず、出版社は小説公募を毎年のように行っている。

その応募締め切りを自分の締め切りとし、ギリギリまで見直し、提出する。

そして間違ってはいけないのは、1回出したぐらいで何かの賞を獲れるほど小説界は甘くない、ということ。

最初は一次選考にも通らないのは当たり前。

そんなことで、『自分は向いていない』、なんて思う奴は、奴と書くが、もしラッキーパンチで小説を出版できたとしても、絶対に続かない。

覚えておいてほしいのは、審査する人も人間ということ。

1つの公募でダメだったとしても、自分が面白いと思って書いたモノは、どこかの誰かは絶対に面白いと思うモノなのだ。

公募は山のようにある。

A出版社の主催する小説公募でダメだったとしても、B社にもC社にもD社にも出せばいい。

その度に100%に近づけるべく直し続けて、出し続ければ、誰でも絶対に何かの賞を獲ることができる。

ボクも公募で賞を獲って小説家の端くれになった人ではあるが、デビュー作も、5つ目の小説公募で賞をもらえた。

1つをエンディングまで書き上げたなら、それを修正しながら、あらゆる小説公募に出せばいい。

出して審査を待っている間に、次の作品に取り組み、2作目が完成すると、チャンスは2倍になる。

それを続けていくと、エンディングまで書き上げる度に、チャンスは3倍、4倍と膨れ上がっていく。

小説家になれる人となれない人の違いは、『書き上げてそれを公募に出し続けられるか』、にある。

書くことが好きなら、それは大した労力ではない。

それを大した労力だと思うのなら、その人は別の仕事を探した方がいい。

結婚と一緒で、小説家デビューするのがゴールではなく、そこからが完全なるスタートなのだから。

2017年5月26日金曜日

ボクの趣味10 ~旨いサンドウィッチ屋を求めて~


実はボクの趣味であるサンドウィッチ屋巡りは、今に始まったことではない。

もうかれこれ、五年ほどにはなろうかと思う。

そんな中で、悲しいかな、閉店してしまう店もある。先日書いた埼玉・川越の「ちちぶや」もその一軒。

なので、閉店したのが惜しいサンドウィッチ屋さんを紹介したいと思う。

但しそれは、ボクの行動範囲内にあった店が閉店しただけであって、足を延ばせばチェーン店へは行ける。なので紹介する。



都内では阿佐ヶ谷にしかなかったサンドイッチ専門店『VICTORY CAFE』。


全国に数店舗あるらしい。


店を探すときにはネットを駆使するが店舗情報などは調べることはない。


自ら店に行き、聞きたいことがあれば店員に直に聞くのがモットー。

ブログを書いている以上、専門店、と構えている店に入らないわけにはいかない。そこで今回である。仕事の合間に入ってみた。


サンドイッチ専門店と謳ってはいるが、ファストフード色が色濃く、お客も中年から上の方々が多い。


そしてサンドイッチもコンビニのように1つ1つビニールに包まれている。


以前にも入ろうと思ってはいたのだが、サンドイッチがビニールに包まれている姿は美味しさを半減させる印象があり、店員が皿を洗うことを拒むためのものでしかなく、そこにはサンドウィッチに対する愛が見えないから。


だが、エッグサンド、ヘルシーサラダ、ペアサンド、ロースカツ、海老カツ、ブルーベリー、ビクトリーサンド、月見野菜サンド、かぼちゃコロッケ、チキンカツ、ロースハムエッグ……などなど、〝サンド〟を付けるか付けないかの定義は謎だが、とにかく種類は豊富。


そんな中でショーウインドウを眺め、店員と話しながらジャケ買いを敢行。

――『海老フライとアスパラ』(410円 +税)

――『月見野菜サンド』(360円 +税)の2種類。

セットでカフェラテが安くなるというので、共に注文した。


『海老フライとアスパラ』は、その名の通り、海老フライとアスパラガス。


8割の硬さのスクランブルエッグ、タルタルソースで上手くまとめている。


『月見野菜サンド』は、その名の通り、ほぼ全熟の目玉焼きが〝月〟を表現し、トマトとレタスが〝野菜〟の部分を表現している。


ビニールを取ると、具の重たさでグデッとなってしまう。


腹が減っているときに見れば美味そうに見えるだろうか。


とにかく、月見野菜サンドから頂く。


では一口――――――はい、56点。


なかなかである。食パンは焼かれていないので、もちろんやわい。


しかし、ボクの食べ方の上手さもあるが、全塾の黄身部分が垂れてこない。


レタスの丁寧な重なり具合。厚切りのトマト。見た目以上の特徴はないが、見た目を裏切らない。悪くない。


続いて、『海老フライとアスパラ』。


では一口――――――はい、58点。


そもそも重たいモノが好きなボク。それほど大きくないが2匹の海老フライが半分ずつ入っている。


うん、素直に美味い。前述同様、期待を超えないが裏切らない。実はこれが一番大事なのかもしれない。


人の性として、新しく食べるモノには期待を超えてくれることを期待するが、期待しているモノを超えてくるなんて、ロト7の4等ぐらいに当たるほどの確率だろう。毎週買っていて、ごくごくたまに、1万円前後が当たることがある。それぐらいの出会い。


なので、将来もしかして何かの飲食店を始めた場合は、期待を裏切らないことを目指そう。


ごちそうさまです。


表ののれんに『ボリューム満点!』と書いていたが、それも、中年以上の方々に対しての宣伝だろう。2セットを2分で完食した結果、やはりコスパが悪く感じてしまった。


ただ、少し『なるほど』とも思った。


サンドイッチ専門店と謳っておきながら、中年以上の方々が集まるようなファストフード店の様相は、この味にマッチしている。

これ以上オシャレにしてしまっては、若者が来てしまう。

そうすると、乳母車を押してゆっくりと入ってきて、店員と挨拶を交わしながらエッグサンドとアイスコーヒーを注文していたあのおばあちゃんはもう来られなくなるかもしれない。


しかしそんなVICTORYも、昨年2016年7月31日で閉店してしまった。


都内では唯一の店だったので、関東で探すと千葉・稲毛と埼玉・川口にあるとのこと。


もし何かの用事で行くことがあれば、寄ってみたいとは思う。


『サンドイッチ専門店 VICTORY CAFE』阿佐ヶ谷店 (閉店2016年7月31日)

2017年5月25日木曜日

嫁の妊娠18 ~我が子は何弁になるのだろうか~


妊娠6ヶ月を順調に過ごしている嫁との日々を綴り続けて早2ヶ月。

見に来てくれる人も徐々にだが増えているようには感じている。

ブログというものは読んでくれる人へボクの持っている情報なり、気持ちなりを書き続けることに意味があると思っている。

我が子が無事に生まれ、その生活も綴っていこうと思っている。

そしていつか、ボクが死ぬときに、このブログの存在を暗号で明かし、家族のみんなが、

「そんな前から書いてたの!?」

なんて驚き、死んだボクを思い出しながらみんなで楽しくこのブログ記事を読んでいる姿を夢見ている。

つまり、ボクは夫として父親として、死ぬまでちゃんと頑張らなければならない。

昨日のように、嫁に内緒でパチンコに行って3万円も負けている場合ではない。


もう数日で6月に入るので、我が子が生まれてくる予定まで4か月余りとなった。

そんな中、ボクはお父さんになれるのだろうかとの漠然とした思いを抱き始めた。

世のお父さん方は、外から見ているとみんな良きパパに見受けられる。

まぁ、家庭内では細々とモメゴトもあるだろうが、そんなことは百も承知で、ほとんどのことは大体なんとなかなる。

嫁は普通の女子で、機嫌が悪くなれば怒るし、楽しいコトがあると笑うし、喜怒哀楽がはっきりしていて、仕事場でも嫌われない性格で、そつなくお母さんになっていくのだろうと思う。

甥っ子や姪っ子とは、ボクは子供たちが飽きるほど遊ぶので、その点は心配していない。

一番の心配は、ボクがゴリゴリの大阪弁であるということ。

嫁は埼玉出身で根っからの標準語。

そして今の計画では、埼玉に家を建てて暮らしていこうとなっている。

そんな中で、ボクの大阪弁は子供にどれぐらい影響するのだろうか。

保育園なり幼稚園なりに行けば、周囲はみんな標準語。嫁の実家の家族たちもみんな標準語。

出身が熊本である嫁のお義父さんも、標準語のような感じになっている。

嫁の妹の新潟出身の旦那も、営業職ということもあって標準語。

よく言われる、なぜか関西人だけは東京へ来ても関西弁を話す、の例に漏れず、東京で18年ほど働くボクは大阪弁のまま。

ボクからすると、地方出身者の皆さんは、よく標準語で話すことができるな、と感心する。

仕事柄、タレントさんにもちょくちょく会うのだが、以前ダウンタウンさんと番組をやったときに、収録前の溜まりで話していたら、浜田さんが、『子供といるときはあまりゴリゴリの関西弁では話さないようにしている』と言っていた。

そんなことがボクにできるだろうか。

今の予想では恐らくボクの子供は、標準語8:関西弁2、ほどになりそうな予感。

東京出身なのにときどき関西訛りが出る、謎の人に育っていくかもしれない。

でもボクが標準語で話すことはしない。というか、できない。

それも踏まえ、嫁にガチで怒られるまで、通常通りの大阪弁で話そうと思う。

あ、ちなみに、関西弁と大阪弁を書き分けているのだが、関西弁とは、大阪弁、京都弁、兵庫弁、奈良弁などの総称であり、梅田近辺で生まれ育ったボクは完全な大阪弁。

あ、ちなみに2。関西人も、基本、お好み焼きをおかずにご飯は食べない。お好み焼きだけでは足りない人が、ご飯を食べるだけ。

2017年5月24日水曜日

ボクの趣味9 ~旨いサンドウィッチ屋を求めて~


はい、来ました。都内の少し拓けている駅前には必ずと言っていい『ルノアール』。

以前のノマドワーカーにオススメの記事で書いたこともあるように、パソコンでモノを書く仕事をしているので『ルノアール』は御用達だが、皆さんの中には『ルノアール』という喫茶店があることは知っていても、バカ高いコーヒーを出す店、おじさんやおばさんが行く店、セカンドバッグを持った恰幅のいい怪しい大人たちの商談の場、とのイメージを持っている人も多いだろう。
間違ってはいない。が、間違っている部分もある。

それが今回、広めたいメニューである。

まず写真を見てほしい。

そう、コーヒーは確かに少々値がはる。がしかし、である.

午後12時までに入店し、飲み物と一緒であれば、これだけのサンドウィッチがコンビニ程度の価格で食べることができるモーニング・サービスがある。

『ルノアール』は立地条件によって、同じコーヒーでも大幅に値段が変わってくるが、このモーニング・サービスの値段は全店舗同じであると記憶している。

ボクの行った店舗は比較的コーヒーが安い店で、ルノアールブレンドが486円(+税)。

そして頼んだ今回のサンドウィッチがこちら。

172円(+税)の『デラックスデラックスサンド』。

以前、別のルノアールで、メニューのミスプリントかと思い、「これ、〝デラックス〟が1つ多くないですか?」と聞いたら、「いえ、デラックスデラックスサンドです」と言われた。

なぜデラックスをかぶせてしまったのかは謎のままだが、メニューを紹介する。

サンドイッチは、ベーコン、トマト、チーズ、ポテトサラダ、ハニーマスタードで構成され、おチョコ程のガラス容器にブルーベリーソースがけのヨーグルト、そして謎のスープ。

表記が『スープ』だけなので「味で判断してみろ」との挑戦だと受け取ったが、これが中々、恐らくコンソメスープだとは思う。いや、コンソメっぽいスープ、の表現が合う。

この内容からしても『デラックスサンド』の名称のほうがちょうどいいとは思うが、これは紛れもなく『デラックスデラックスサンド』。

では一口――――――はい、48点。

味、ボリューム感、食べやすさ、値段と見比べた時の満足感。何も変わっていない。が、それがいい。それでいい。

パン3枚で具が2列、全てを一緒に味わう。

食べているときは、もう何がなんやら、どれがベーコンでどれがトマトでどれがポテトサラダかなんて考えない。口の中で全部がごっちゃに混じり合い、1つの味になる。

懐かしくもあり、なぜかちょっぴり切なくもあった。

食べ終わってもまだ12時前で、ブログに書くのだからとルノアールブレンドを追加し、今度は『ありたどりローストチキンレタスサンド』134円(+税)を注文した。

メニュー表にオススメのように書いてあった『ありたどりチリソース焼きチキンとタマゴのプレミアムサンドウィッチ』と、何が入っているのか一目瞭然の一品にしようかとも思ったのだが、489円(+税飲み物と一緒に頼まなければ689円+税)とお高いので、やめた。

そしてこの『ありたどりローストチキンレタスサンド』には、ゆで卵とスープがついてくる。

確か、以前来た時は別のメニューだったような気もするが、『デラックスデラックスサンド』との38円の違いがわからない。

では一口――――――はい、46点。

順当と言っていい。チキンの味もある程度はわかるし、パンと具の量もバランスがいい。ただ、これが100g60円のブラジル産の鶏肉でも気づかない。

因みに、ゆで卵は完全な固ゆで卵である。

とにもかくにも、久々に午前中の『ルノアール』でゆっくりとサンドウィッチを堪能できた。仕事は全然終わらないが、いい1日になった。

2017年5月23日火曜日

嫁の妊娠17 ~嫁の戦闘力が上がった~


いよいよ今週末に、妊娠6ヶ月の性別がわかるであろう検診がある。

里帰り出産をするので、その病院に行くのも初めて。

今までは現在の自宅近くの、女医さんしかいない産婦人科で検診を受けていたが、里帰り出産の病身は埼玉の川越近辺にあり、恐らく産婦人科医は男性であろうう。

妊娠当初、嫁は、

「絶対女医さんがイイ」

と言っていた。まぁ、ボクも出来ればそれの方がいいとは思う。

しかし里帰り出産を決断したからには、男性医師でも文句は言えない。

嫁は落ち込んでいるだろうな、と思って、

「まぁ、次からは先生が男の人になってまうかもやけど、しゃあないな」

と、会話の流れでボクが言った。すると、

「ん? ああ、まぁ、別に気にしないけど」

と、以前とはリアクションが違う。

「あ、いや、ほら、前に、女医さんがイイってゆうてたから」

付け加えると、

「ああ、前はね。でも、なんだろ、病院行くたびにパンツ脱いで色々見られてるから、それが女性だろうが男性だろうが、気になんなくなった。先生だし」

とあっけらかん。

素晴らしい精神力の成長だな、と思った。

ボクに置き換えると、病院に行くたびに、ボクの息子を……えっと、本当の息子ではなく、下半身の息子を見られるとなると、女性ではなく男性がいい、と思ってしまう。

まぁ、ボクは男なので、局部を見られることは女子より抵抗はないと思うが、それでもやはり男性がいい。

嫁は夏でも露出の多い服を着るわけでもなく、いたって普通のオシャレファッションの人。

時折、胸元が広い服を着て、前景になると胸のほとんどが見えるときはあるが。

さらに、詳しく聞いたことはないが、そこまで男関係もハデではなかっただろうとも思うし。

そんな嫁が、検診とはいえ、見ず知らずの男性の前でいきなりパンツを脱いで大股を広げる行為に対して、あっけらかんとしている。

子供ができると母は強くなる、とよく聞くが、こういったことも徐々に強さを増していく要因だろうと思う。

そんな中、ボクは初めて、妊娠6ヶ月の我が子の「ポコポコ」を感じた。

嫁は1ケ月ほど前から、

「最近、お腹がポコポコ言うんだけど」

と、いわゆる、『胎動』というものを感じていた。

ボクは何度か腹に手を当ててみるも、それを感じることはできなかった。

しかし昨日、ボクが晩御飯の皿洗いをしていると、リビングから

「あ、今わかるかも! 来て来て!」と嫁の声。

最初はなんのことかわからなかったが、リビングに行くと嫁が自分のお腹をさすりながら顎でボクを促していた。

すぐさま、嫁のお腹に手を当てる。

「違う違う。ココココ」と、嫁に指示されながら。

すると、小さく「ポコ……ポコポコ」と、明らかな振動を感じた。

「今の!! わかった!?」

嫁が同時のタイミングで言う。

わかった。ちゃんとわかった。

右手に確かに、小さくではあるが、我が子の存在を確認した。

ボクの下半身の息子から出た本当の我が子が、そこにいた。

2017年5月22日月曜日

ボクの趣味8 ~旨いサンドウィッチ屋を求めて~


今日は番外編。

2年ほど前に嫁の実家へ遊びに行ったときに、嫁の妹夫婦や従妹夫婦たちと川越の街をブラブラしているときに見つけたサンドウィッチ屋さんのお話。


ボクのサンドウィッチ探訪の信念は、イートインの店を主としている。

が、今回は少しイレギュラー回として短く記す。その理由はまたあとで。

川越市駅周辺は『小江戸』とも呼ばれ、晴れた日曜の午後だったのこともあり観光客で賑わっていた。外国人も多く、観光客目当ての店がひしめいていた。

そんな中、嫁の従姉妹の1人が立ち止まり、

「ここのフルーツサンドウィッチ、好きなのよね!」

と言った。

『サンドウィッチ』との響きに耳が峙ち、寄ってみることにした。

少し路地を入った〈時の鐘〉の斜め前に位置する店。

看板には『手造サンドの店 ちちぶや』。

昔ながらのサンドウィッチ屋さんといった店構え。

ソフトクリームやロング麩菓子、その他お土産やお菓子もわんさかと売っている。

少し話だけ聞いてみるかと、店主であろうおじいさんに話しかける。

「この店、長いんですか?」

「そうだね、もうずっとやってるよ」

「へー」

なんて言っていると、おじいさんがフッと目を伏せ、言った。

「でもね、もうあと2ヶ月後に、店閉めちゃうんだよ……」

嫁も嫁の妹たちも知らなかった情報で、みんな驚いていた。

ここはもう数十年も前から営業しているらしく、嫁家族も子供の頃からここのフルーツサンドを食べて育ったと言った。

そこに必ずあったものがなくなる。

30歳を超えて大阪に帰ったとき、数年ぶりに地元をブラブラしたときのことを思い出した。

あの駄菓子屋も、あのゲームセンターも、あのエロ本自販機も、小学生のボクが世界の全てだと思っていた場所は、跡形もなく、新築一戸建てが建っていた。

ボクは甘いものは苦手だし、テイクアウトを主としている店のサンドウィッチは買わないのだが、閉まってしまうと聞いた以上、食べないわけにはいかない。

もう一生食べることができないかもしれないから。

あの駄菓子屋で買った最後のお菓子も、あのゲームセンターで最後にやったゲームも、あのエロ本自販機で最後に買ったエロ本も、覚えていない。

だからボクは、これから最後に出会うとき、ボクにとっての最後を覚えておくようにしようと思う。

嫁のオススメするフルーツサンド(250円 +税)を購入。

本日の残り1個だった。

みかんの缶詰だろうみかん果実と、なめらかな生クリームが重なり合った昔ながらのシンプルなフルーツサンド。

特徴を言うなら、パンがしっとり系で柔らかいのが好きな人にはいいと思う。

見た目そのままの味だが、それでいい。それがいい。

今回は味の採点はしない。

〝もう食べられないかもしれない〟との調味料が入っているから。

極端な話、このサンドウィッチがなくなったとしても誰も困らないだろうが、特に手造りサンドウィッチの店が閉店してしまうのは、やはり寂しい。

もし、今自分がお気に入りの店がある人は、今そこにあることが幸せなのだと、感じて欲しい。


『手造サンドの店 ちちぶや』 川越 〈時の鐘〉近く (閉店)

2017年5月21日日曜日

嫁の妊娠16 ~新築で家を建てるかも~


嫁が妊娠6ヶ月に突入。妊婦アプリによると、折り返し地点ですよ、とのこと。

そんなこんなで、前にもこのブログに書いたが、子供が生まれるということもあり、新たな家を探している。

探し始めた3月や4月は東京にマンションか一軒家を買おうと、新築か築15年以内の中古を検索していた。

そんなことを嫁と話している中、嫁の実家の土地が余っていることも視野に入れ始め、そうかそうかと、独立一軒家なのか2世帯なのかは相談するとして、上物を建てればいいのだなという話が現実味を帯びてきた。

そこでボクは、とりあえずの大まかな概算を知ろうと、大手不動産企業の新築相談窓口へ行って来た。

平日の昼間だったからか他に客はおらず、優しめの男子社員が出迎え、紙コップに泡の立っている緑茶を持ってきた。缶に入っているお茶を紙コップに注いだものだろう。

まずこちらの要望を話す。

独立型と2世帯型の両方を検討してもらう。

まずは独立型。完全な一軒家の場合。

基本が建物面積30㎡で考えるらしく、2階建てだと、1階と2階が15㎡ずつとなるらしい。

それはあまりにも小さいので、40㎡ずつの計80㎡で考えてもらう。

その相談窓口のやり方として、A枠、B枠、C枠で会社のランクを区切り、それぞれでかかる大体の費用を提示してくれた。

キッチンやバス・トイレなどの基本設備建築のみで出たのは、

A枠の会社 : 1200万~
B枠の会社 : 2000万~
C枠の会社 : 2400万~

とのこと。

それに、付帯・諸費用と呼ばれる、電気ガス水道などの設備費用が400万ほど。

プラス、今嫁の実家の土地に建っている倉庫や古い家の解体費用が200万ほど。

引っ越しや建て替え中の住居費や家具・家電の買い替えなどが300万ほど。

つまり合わせると、A枠の場合は〈1200万円+900万円=2100万円〉がかかる費用となる。

一番高いC枠でも、3300万円。

ボクらは共働きで、お互い同じぐらいの稼ぎなので全然許容範囲である。

東京のボクらが希望する杉並区などで2LDK以上のマンションを探すと、安くても3500万円は超える。

それも駅から徒歩20分とか、杉並区に最寄駅からとほ20分の場所を探す方が難しそうだが、そんな立地になってしまう。

しかも、当然新築ではない。新築でも、いわゆも狭小住宅と呼ばれる場所で、3階建てで各階に8畳ほどの部屋が1つずつという謎の物件も検索に出てきた。

そんな窮屈な家を、人生最大の買い物にしたくない。

2世帯住宅の完全独立型にしても、それに500万円ほどプラスする程度だし、2世帯を造るなら、嫁のお義父さんお義母さんが半分持ってくれるとのことで、さらに安くなる。

そうそう、A枠~C枠の値段の違いというのは、基本設備のグレードと、ブランド代、とのこと。

同じようなTシャツでも、ユニクロでは1000円、ビームスでは4000円、みたいなもの。

しかし今や、耐震設備も国の決めた基準値があり、どの枠の会社でも同じ。

生粋の大阪人であるボクは、高級ブランドに惹かれて何かを買ったことは今まで一度もないし、死ぬまでないと断言できる。

ブランドになんて一切の興味がない。ハイカットのスニーカーに関してはコンバースが好きではあるが、高い限定品などは絶対に買わない。

安物買いの銭失いではなく、厳選に厳選を重ね、イイものをできるだけ安く手に入れることの美学。

話を戻す。

その相談窓口では、こちらの家のイメージを伝えると、数ある建築会社の中から適合する4社を選んでくれ、4社から見積もりをもらって、いわば競合という形でボクらに判断させてもらえる。

4社とも嫌なら、また新たな4社も選んでくれると言い、その全てを無料でやってくれる。

ちなみになぜ無料かというと、そこに登録している数多の建築会社から、登録費のような紹介料を事前にもらっているからとのこと

そうして、今は嫁と家のイメージを考えている段階。あれもいいな、これもいいな、と。

そんな中――ボクは不思議な感覚にとらわれた。

自分が、結婚をし、子供を授かり、マイホームを建てる。

生まれた瞬間から好きなコトしかしてこなかったボクは、つい数年前までは、好きなコトをしている者のサダメというか、そんな普通の幸せを手に入れられるとは思ってもみなかった。

好きなコトを、ボクの場合は面白いコトを考えて書くことだが、それがなんとか仕事になった。

それを貫き通した結果、今、妊娠6ヵ月の嫁と笑い合いながらマイホームのイメージを考えている。

これだけ離婚率が上がっている世の中なので今後何があるかはわからないが、今、ボクは、幸せなんだと思う。