2017年5月27日土曜日

小説家になりたい人へ ~小説家になるのは簡単~


以前、放送作家になりたい人へ、とのブログを書いた。

思った以上の反響があったので、今度は小説家になりたい人へ向けての記事を書こうと思う。

ボクは恥ずかしながら、小説も出版させてもらっている。

スタートは、放送作家もある程度仕事の内容がわかってきた25歳ぐらいの頃、「同じ書く仕事なんだかし、小説も書けんじゃね?」 と思いたったのが始まりだったと思う。

しかし、その少し前から、小説も書いてみたいな、との漠然な思いはあった。

ボクが放送作家になりたての頃。テレビ番組のAD(アシスタントディレクター)兼放送作家見習いとして働いていた。

その当時の業界は、とにかくADがやめていく時代。

今は厚生労働省の命令で、だいぶAD業も楽になっているが、それこそ当時はなんでもありだったので、1週間やそこら家に帰れないのは当たり前だった。

放送作家希望で入ったのだが、当時バラエティで流行っていた、芸人にヒッチハイクの旅をさせたり、軟禁に近い状況に追い込んでその経過を毎週放送する番組についた。

放送作家をしたいのならADの仕事も経験しとけ、みたいな感じだった。

芸人を軟禁する企画だったので、週の半分は隣の部屋のスタッフルームと呼ばれる部屋に張り付いて、芸人の動向をチェックしたり、部屋を出られない芸人の代わりに買い物に行ったり、ときには、外出できない芸人の話し相手になったりと、そんな仕事。

まぁ、体育会系のボクにとってはそこまでツラい仕事でもなく、隣の部屋で芸人を横目に見ながら、放送作家としてのネタを考えたり、テレビを観たり、大変ではなかった。

ちなみに、これがロケものだったら相当大変になるのだが、その話はまた今度。

そんな中、ドラマが好きなボクは、TBSの日曜劇場でやっていた豊川悦司&中山美穂のW主演ドラマ『love Story』を観ていた。

豊川悦司さんはスランプで2年も新作を書いていない人気恋愛小説家の役で、中山美穂さんは契約社員として豊川さんを担当する編集者役だった。

北川悦吏子さんの脚本だったのだが、これに当時のボクはドはまりした。

スピッツのテーマソングも良かったし、香取慎吾さんや優香さんなど、脇を固める皆さんも役にはまっていて、とても面白かった。

自分も一応は脚本の仕事もするようになってわかったが、北川さんの脚本も良かったと思うが、それを丁寧に具現化していた監督さんやスタッフの愛が見えた。

その豊川さんの役が、頼りなくもかっこよく、ボクに小説家志望の気持ちが生まれたのだと思う。

前置きが少し長くなってすいません。

とにかく、小説家になりたいと思う人には何かしらのキッカケがあると思うが、ボクが思うに、小説家になれるかなれないかは、1つの要素だと思う。

それは、書き始めた物語は、ちゃんと書き上げること。書ききること。

小説家を目指している人はみんなそうだと思うが、アイデアが浮かび、プロットやメモ書きなどを書き、本編を書き始める。

しかし、エンディングまで書けているモノは、いくつあるだろうか。

ボクにしても、途中で止まっているモノは山ほどある。

そんな中でも、毎日せっせと、10ページや20ページずつでもいい、書き進めれば、必ずエンディングに辿り着く。

書いている途中は、

「これ、いつ終わるんだ?」

と思うコトなんてしょっちゅうで、気が遠くなることもある。

しかしそれでも、歩みを進める。1日5ページでもいい。とにかく書き進めれば終わりが来る。

これは言葉で言うより体感して初めて本当の意味がわかるのだが、1作でもいいから、とにかく原稿用紙300ページ以上の長編を書きあげてみること。

どんなに面白くなくても、これができれば小説家にはなれる。

一旦は書き上げたからといって、完成ではないのは自分が一番よくわかると思う。

あの部分を直したい。誤字脱字がある。あのセリフはもっと後半に持ってきたい……などなど。

どんなに売れている小説家さんでも、100%完成しいました! と言える小説はないと思う。

それでも、何度も見直し、推敲を重ね、1%でも自分なりの完成へと近づける。

ただ、終わりはないので、終わりを作らないといけない。

それが、小説公募。

有名無名問わず、出版社は小説公募を毎年のように行っている。

その応募締め切りを自分の締め切りとし、ギリギリまで見直し、提出する。

そして間違ってはいけないのは、1回出したぐらいで何かの賞を獲れるほど小説界は甘くない、ということ。

最初は一次選考にも通らないのは当たり前。

そんなことで、『自分は向いていない』、なんて思う奴は、奴と書くが、もしラッキーパンチで小説を出版できたとしても、絶対に続かない。

覚えておいてほしいのは、審査する人も人間ということ。

1つの公募でダメだったとしても、自分が面白いと思って書いたモノは、どこかの誰かは絶対に面白いと思うモノなのだ。

公募は山のようにある。

A出版社の主催する小説公募でダメだったとしても、B社にもC社にもD社にも出せばいい。

その度に100%に近づけるべく直し続けて、出し続ければ、誰でも絶対に何かの賞を獲ることができる。

ボクも公募で賞を獲って小説家の端くれになった人ではあるが、デビュー作も、5つ目の小説公募で賞をもらえた。

1つをエンディングまで書き上げたなら、それを修正しながら、あらゆる小説公募に出せばいい。

出して審査を待っている間に、次の作品に取り組み、2作目が完成すると、チャンスは2倍になる。

それを続けていくと、エンディングまで書き上げる度に、チャンスは3倍、4倍と膨れ上がっていく。

小説家になれる人となれない人の違いは、『書き上げてそれを公募に出し続けられるか』、にある。

書くことが好きなら、それは大した労力ではない。

それを大した労力だと思うのなら、その人は別の仕事を探した方がいい。

結婚と一緒で、小説家デビューするのがゴールではなく、そこからが完全なるスタートなのだから。

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