2017年5月22日月曜日

ボクの趣味8 ~旨いサンドウィッチ屋を求めて~


今日は番外編。

2年ほど前に嫁の実家へ遊びに行ったときに、嫁の妹夫婦や従妹夫婦たちと川越の街をブラブラしているときに見つけたサンドウィッチ屋さんのお話。


ボクのサンドウィッチ探訪の信念は、イートインの店を主としている。

が、今回は少しイレギュラー回として短く記す。その理由はまたあとで。

川越市駅周辺は『小江戸』とも呼ばれ、晴れた日曜の午後だったのこともあり観光客で賑わっていた。外国人も多く、観光客目当ての店がひしめいていた。

そんな中、嫁の従姉妹の1人が立ち止まり、

「ここのフルーツサンドウィッチ、好きなのよね!」

と言った。

『サンドウィッチ』との響きに耳が峙ち、寄ってみることにした。

少し路地を入った〈時の鐘〉の斜め前に位置する店。

看板には『手造サンドの店 ちちぶや』。

昔ながらのサンドウィッチ屋さんといった店構え。

ソフトクリームやロング麩菓子、その他お土産やお菓子もわんさかと売っている。

少し話だけ聞いてみるかと、店主であろうおじいさんに話しかける。

「この店、長いんですか?」

「そうだね、もうずっとやってるよ」

「へー」

なんて言っていると、おじいさんがフッと目を伏せ、言った。

「でもね、もうあと2ヶ月後に、店閉めちゃうんだよ……」

嫁も嫁の妹たちも知らなかった情報で、みんな驚いていた。

ここはもう数十年も前から営業しているらしく、嫁家族も子供の頃からここのフルーツサンドを食べて育ったと言った。

そこに必ずあったものがなくなる。

30歳を超えて大阪に帰ったとき、数年ぶりに地元をブラブラしたときのことを思い出した。

あの駄菓子屋も、あのゲームセンターも、あのエロ本自販機も、小学生のボクが世界の全てだと思っていた場所は、跡形もなく、新築一戸建てが建っていた。

ボクは甘いものは苦手だし、テイクアウトを主としている店のサンドウィッチは買わないのだが、閉まってしまうと聞いた以上、食べないわけにはいかない。

もう一生食べることができないかもしれないから。

あの駄菓子屋で買った最後のお菓子も、あのゲームセンターで最後にやったゲームも、あのエロ本自販機で最後に買ったエロ本も、覚えていない。

だからボクは、これから最後に出会うとき、ボクにとっての最後を覚えておくようにしようと思う。

嫁のオススメするフルーツサンド(250円 +税)を購入。

本日の残り1個だった。

みかんの缶詰だろうみかん果実と、なめらかな生クリームが重なり合った昔ながらのシンプルなフルーツサンド。

特徴を言うなら、パンがしっとり系で柔らかいのが好きな人にはいいと思う。

見た目そのままの味だが、それでいい。それがいい。

今回は味の採点はしない。

〝もう食べられないかもしれない〟との調味料が入っているから。

極端な話、このサンドウィッチがなくなったとしても誰も困らないだろうが、特に手造りサンドウィッチの店が閉店してしまうのは、やはり寂しい。

もし、今自分がお気に入りの店がある人は、今そこにあることが幸せなのだと、感じて欲しい。


『手造サンドの店 ちちぶや』 川越 〈時の鐘〉近く (閉店)

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