2017年5月18日木曜日

放送作家になりたい人へ



ボクは様々な作家業をしていて、まぁ、ある意味便利屋みたいな位置にいる。

テレビ番組の放送作家を主軸に、小説で数冊、ドラマや映画の脚本、雑誌のライターなどなど、多種多様なコトをさせられて……あ、いや、している。

元々、大阪で生まれ育ち、その中でも群を抜いて面白いコトが好きだったと言える。

高校のころから芸人死亡の友人とコントや漫才などを遊びで書いていて、ラジオにもハガキ職人として投稿していた。

そこからラジオに遊びに来てと呼ばれ、ラジオの放送作家見習いみたいなことをしている

と、知り合った東京から来ている先輩放送作家から、

「放送作家で食ってくなら東京に来たほうがいいぞ」

と言われ、無一文で上京。

本当に無一文で、新幹線代を出してくれるというので、新聞配達の住み込みで働きながら、放送作家見習いとして各所に面接に行った。

その中から、AD兼放送作家という条件付きで一つ採用をもらい、新聞配達は半年キッカリで辞めた。

その後1年間、インターネット番組でAD兼放送作家の仕事をしていて、終わると、そこの番組制作会社の社長に、

「放送作家になりたいんですけど」

と言うと、

「じゃ、明日までに番組企画50個書いてこい」

と言われ、今思えば、そのやる気を見ていたのだなとわかるが、そのときはがムシャラに考えて50個書いて持って行った。

そのころボクはまだパソコンなど持っておらず、ワープロ、つまりワードプロセッサーを使っていて、本体とセットになっている印刷機でシコシコと遅い印刷を待つ。

それも東京へ来てリサイクルショップで買ったもの。

そのネタ50個を皮切りに、放送作家見習いとして、当時社会現象を巻き起こしていたバラエティー番組に参加させてもらえた。

そんなこんなで、徐々に番組をさせてもらえるようになり、色々と知り合いが出来た。

20代で、一応、日テレ、フジテレビ、TBS、テレ朝、テレ東で、番組に入ってる放送作家の中で一番上のチーフ作家もさせてもらった。

この放送作家の世界は特殊だと思う。

よく、他の仕事をしている知人に、「どうやってなったんですか?」と聞かれるが、放送作家へのなりかたはみんな千差万別。

一つ言えるのは、とにかく面白いコトが好きで、それをちゃんと文字に書いて、関係各所に配れば、必ず誰かしらの目には止まる。と思う。

今や放送作家の専門学校やスクールなどもあるが、そんなところにお金を払って勉強するより、月並みだが、見習いでもリサーチャーとしてでもいいから、一刻も早く現場に入り、番組制作や番組会議の空気を感じたほうが絶対にいいと思う。

好きなバラエティー番組のHPの番組への感想からでもいいし、エンドロールで制作会社を見てその会社の番組担当者様宛でもいいし、エンドロ―ルの『演出』もしくは『総合演出』と書かれている人宛てに(大体はテレビ局員だが、制作会社の場合もある)でもいいが、『自分だったらこの番組でこんな企画をしたい!』というA4用紙1枚程度を1ネタとし、出来る限り数を送る。返信が来なくても、それを懲りることなく毎週続ける。

恐らく一番いいのは、演出の人宛てにテレビ局に送ることだと思う。

演出さんは、面白がる人がほとんどで、最初は「なんだこいつ?」とは思われるが、毎週送っていれば、必ずと言っていいほど、何かしらのリアクションがある。

もう送るのはやめて、と言われるかもしれない。しかしそんなことでへこたれているようでは作家になんてなれない。

やめて、と言われれば、別の番組の演出に送る。

それを繰り返せば、確実に放送作家になれる。

やめていく人や精神的にダメージを食らう人も多い世界だが、食っていく職業にしたいなら、それぐらいの根気が必要だとは思う。

ただ、全くストレスなく、全ての仕事を面白いと思ってしまうボクのような人種もいるが。

とにかく、放送作家への早道は、たぶんこれだと思う。

次回は小説家になる方法を書く。

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