2017年4月23日日曜日

日曜日に嫁と散歩 ~懐かしの高円寺を紹介~


関東圏ではあるが東京出身ではない嫁が最初に1人暮らしをしたのが、高円寺。



その引っ越しの頃にはボクらは出会っていて、引っ越ししようかどうしようか、と相談もされた。

嫁が20代半ばだったこともあり、初1人暮らしということで、人生経験としていいんじゃないかな、と言った。


高円寺駅から徒歩8分ほどの場所。

1Rだが、トイレと風呂は別。築年数も浅いのでモロモロの設備が綺麗だった。

そして良かったのが、引っ越す友人から冷蔵庫やベッドやテレビなどなどの一式がもらえたこと。

部屋が狭いので荷物はそれほど入らず、実家から洋服や小物などを自分で運んだので、引っ越し費用もかかっていない。

そんなこんなで、ボクと嫁は、ボクと嫁のそれぞれの家を行き来していた。


そしてボクの楽しみは、嫁の家に遊びに行ったときに高円寺を散歩すること。

生まれたときから大阪の大都会で育ったボクは、やはり人込みやゴチャゴチャとした街が落ち着くのだと思う。

高円寺はピッタリだった。


まず、ボクが【世界一コスパのイイラーメン屋】と呼んでいる店を紹介。


嫁が住み始めた家の近くに、〈鹿児島一番〉というラーメン屋があった。

エイかからの帰り道の道中から10メートルほど反れた場所。

なんと、一杯390円なのに、ラーメンのクオリティは間違いなく500円以上!

白髪の痩せたメガネのオジサンが、店内に設置しているテレビをながら見しながら、ラーメンを作っ……いや、ラーメンをながら作り、テレビを観ていると言ったほうがいい。

〝私にはこのラーメン屋しかできません〟という出で立ちがいい。ラーメンを追及しているわけでもなく、ただただ、その日をラーメン屋として、可もなく不可もなく過ごす。

素晴らしいと思う。

今日の散歩ではそこまでは行っていないが、いつかまた、絶対に行く。


さて、駅前ロータリーをぶらり、氷川神社に行って安産祈願(お天気の神様だが)などをしたあと、嫁が「行きたい」というので、昔良く行っていたオシャレカフェへ向かう。


駅から徒歩5分ほどの場所にある〈PLANET THIRD〉。第3惑星、という意味だろうか。

ここはいわゆる、中野・高円寺・阿佐ヶ谷にありそうなオシャレカフェそのもの。

都会に憧れる人たちが、「東京のカフェってこんな感じだろうなぁ~」と想像するドンピシャの店。


店内の屋内は禁煙席で広く、ほぼ全ての椅子やソファーの種類が違う。

喫煙席は席数は少ないがテラスにあり、ここも椅子やソファーの種類が全て違う。

イスもソファーもどれもオシャレで、テーブルは低く、各席幅もゆったり広めにとられているのでのんびりできる。


内装は、照明や壁など全体的にアメリカンポップなイメージで明るい。

周りを見渡すと、女子1人もカップルもファミリーもいる。オシャレなのに客を選ばない。

ただ、久しぶりに、それこそ数年ぶりに来てみて、確認したいことがあった。

以前は良く来ていたので、店長や他の店員さんとも、着かず離れずの、目が合うと会釈をするぐらいだが、ボクの昔に出した小説を置いてもらったりもしていた間柄だった。 

しかし、いつもいたはずの、その店長がいない。さらに、5人程いた店員の中に、知っている顔は1人もいなかった。

ボクはトイレに立った。ボクが昔プレゼントした小説は、トイレの手前の小さな本棚に並んでいたから。確かめなくてはならない。


――ない。ローマ字タイトルの本が並ぶだけ。

お店の名前も書いてサインもしたのに、なくなっている。

さらにレジの後ろにも少し本が並んでいたので確認したが、どこにも見当たらなかった。 


ここで、ボクが注文した煮込みハンバークと嫁が注文したガパオライスが運ばれてくる。

まぁ、メシは美味からずマズからず、昔から味は知っているので期待はしていないが、ここは雰囲気を楽しむカフェなので目をつぶりながら食べる。

嫁と懐かしい話をしながらも、ボクの心の中には、もしかして――、の心配が渦巻いていた。

そしてお会計でレジへ向かう。目の前に来たソバカスがチャームポイントの店員さんに、ボクは思い切って聞いた。


「ここって、店長代わったんですか?」


すると、ソバカス姉さんは「はい」と答える。


「いつですか?」ボク。


「と言っても、もう2年前、ぐらいですかね」と、ソバカス姉さん。


「前の店長って、メガネで背の高い……」ボクはちゃんと確かめたかった。


「ああ、そうです」



ボクが次から次に喋るので、ソバカス姉さんは多少イラっとした顔で言った。

嫁と店を出て、駅へ歩いた。仲が良かったわけでもなく、そこまで頻繁に通っていたわけでもなく、店に行っても目が合えば会釈するぐらいの関係だったが、少し寂しい気もする。


ただ、ボクのサイン入りの小説は、どこに行ったのだろうか?

元店長が次の店へ持って行ったのか、ブックオフに並んでいるのか、夢の島へ沈んでいるのか。

それは誰にもわからない。

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