2017年4月11日火曜日

あんなところで出会うとは


先日、ボクの地元大阪の友人が大丸心斎橋で開催していた催事『GUNDAM PRODUCT ART 機動戦士ガンダム THE ORIGIN展』に行って来たと自慢げにメールをしてきた。

ボクはガンダムが流行った世代よりは少し若いが、年の離れた兄貴がガンダム好きだった影響から人並みにガンダムは好きになった。

機動戦士ガンダム、Ζガンダム、ZZガンダム、ぐらいまでは再放送などで全て見た記憶がある。

その中でもやっぱりカッコイイのが『シャア・アズナブル』であり、『キャスバル・レム・ダイクン』。完全に主人公を食った絶対的敵キャラのいるアニメはそうあるものではない。

他のアニメでは、例えばあのドラゴンボールでも、「DBに出てきた敵キャラで一番印象に残っているキャラは?」とアンケートを取ったとすれば、迷った挙句、ベジータ、フリーザ、セル、魔人ブウ、桃白白(タオパイパイ)と答える人もいるかもしれない。

しかしながらガンダムに至っては、1978年放送の『機動戦士ガンダム』から、つい先日最終回を迎えた『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』までの全18シリーズに於いて同じアンケートを取った場合、間違いなくシャアがダントツで1位になると言い切れる。ここまでクセの強い敵キャラはそうはいない。

今回の催事では、1979年当時にアニメーションディレクターとキャラクターデザインを務めた安彦良和氏がコミカライズした漫画『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の原画が展示され、もちろんシャアもとびきりにかっこよく展示されていたとのこと。
さらには1/10スケールの初代ガンダムの立像も展示され、その写真も送られてきた。実寸大は18メートルなので、180センチということになる。ボクとほぼ同じ身長。多少は生で見たい衝動に駆られる。

しかしながら、〝ガンダム〟と聞くと、ボクにはとてつもない思い出がある。
それは今から10年ほど前のこと。

新宿から電車で10分弱の東京某所に住んでいたボクは、その最寄り駅前の居酒屋に友達と入った。
雰囲気のいい居酒屋で、店員たちも付かず離れずのいい距離で接してくれる。
そして何よりメシが美味い。ボクはあまりお酒は飲めないので、メシが美味い居酒屋は本当に有難かった。

ただ、一つだけ不思議な点があった。カウンターの客と調理場を挟んだ間のスペースに、ガンプラがズラッと並べられていた。

始めは、まぁ、店主が好きなのかな、と思う程度だった。
しかし目の前にガンダムやシャア専用ザクⅡ、シャア専用サザビーに始まり、ゲルググ、グフ、そして素晴らしくカスタムされた百式まであり、自然と話題もそちらになる。

すると板前さんが、「ガンダム好きなの?」と言い、はいと答えると、「ウチね、シャアが来るんだよ」と、明日晴れだよ、ぐらいのテンションで言った。
何を言ってるんだと思い、どういうことですか? と聞くと、「池田さんが来るんだよ」と言い直してくれた。

ガンダムファンならずとも知っている人は多いと思うが、そう、あのシャアの声優の池田秀一さんが行きつけにしている店だったのだ。

そしてボクが後日またその店を訪れると、そこに池田さんがいた。
背は低いが、ロマンスグレーでシュッとした白髪のカッコイイおじさんだった。
店の人がボクを紹介してくれ、なんと、池田さんの隣で一緒に飲もうということになった。

池田さんは永遠と『八海山』を注文してはグラスを空け、また注文する。
なんだこの状況は? と緊張しながらも、ボクも自己紹介をし、何を話したかは覚えていないが夢見心地で話した。

その後も何度か店を訪れ、池田さんと他の常連客と飲む日が続いた。
ある日などは、いつものカウンターに池田さんの姿はなかったが、奥の座敷から池田さんが出てきた。「今、奥の座敷にイササカ先生とマスオさんとクレヨンしんちゃんの〇〇がいるよ」(確かそうだったと思う)と言ってトイレに入って行った。すさまじい飲み会だなと思った。

近くの焼肉屋さんで池田さんとみんなでご飯を食べたこともあり、サインももらったり、酔った池田さんに調子に乗ってシャアの声で名前を言ってもらったりと、凄く楽しい数ヶ月を過ごした。

引っ越してからは足が遠のいてしまったが、みんなは今も池田さんと楽しく過ごしているのだろうと想像して、あの楽しい日々を時々思い出してボクは嬉しくなる。

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