2017年4月20日木曜日

放送作家というお仕事


テレビの仕事も多少しているボクは、会議でアイデアを喋り、企画書や台本を書く。


主にバラエティー番組。

企画募集から新番組が出来上がる大まかな仕組みはというと。


各テレビ局はほぼいつでも、色んな形態で番組募集をしている。

特番2時間のバラエティー、とか、30分~60分の情報バラエティー、とか、60分4話から8話のドラマ、などなど、時期や局によって様々だが、とにかくあらゆる形態で各制作会社に向けて随時募集を行っている。

ボクら制作会社の人間はそんな募集に対して、テレビ局の正社員、知り合いの局員さんと企画会議をし、企画書を書き、提出日までに企画書を提出する。

そして編成部と呼ばれる、番組の決定権がある部の人たちが精査し、気に入ったのがあれば、まず一緒に提出したテレビ局員が呼ばれ、二次審査みたいなものが始まる。

もっと具体的な企画の内容だったり、企画書に仮で書いていた出演者のスケジュール確認だったり、どれぐらい具現化の可能背があるのかを見定める。

そもそも最初の企画書というのは、「こんな番組やりたいです!」のお知らせであり、ほとんどの企画書に書いている出演者や情報は、(仮)と書かれているから。

そして具現化できる見込みがあり、尚且つ、編成部の上層部の人からのOKが出れば、めでたく番組成立となる。

基本的に、各局は『特番枠』というのを持っている。ゴールデンの2時間だったり、土日のお昼の90分だったり。

そこで一度やってみて、視聴者の反応を伺う。視聴率が良いのが一番だが、最近はネットでの話題性も調査対象となっているらしい。

そのモロモロの反応が良ければ、レギュラーという、ボクらが一番目指す枠をもらえる。


こう書いてしまえば簡単なように見えなくもないが、とにかく、まず一次審査を通るのが超絶に難関。

編成部の人は、毎回数百本の企画書が送られてきて、若い局員がまず精査して、勝ち残ったものを中間の局員が振るいにかけ、ようやく一次審査突破となる。

そのときによって様々だが、数百本のうち、一次審査を通るのでさえ数本。

ボクは恐らく1000本は企画書を書いているが、通ったのは、正直10本ぐらいだと思う。

つまり、通るのは1%ほど。

ただ、一緒に組む局員さんの役職や立ち位置がかなりモノを言うのも確かで、ゴールデンで視聴率のイイ番組を担当している総合演出(その番組で一番偉い人)などと組んで一緒に出せば、かなりの高確率で通る。

その逆で、視聴率もいまいちの深夜番組などを担当してる局員さんと一緒に出しても、正直キツい。

企画の良し悪しを決める編成部の人も人の子であり、自分の判断を全て信じれる人はいない。

視聴率をコンスタントに取っている長寿番組を担当している局員なら、新番組でもある程度の成果を上げてくれるだろう、との憶測が半分以上を占めている。


一応片隅で働かせてもらっているボクが思うに、巷で言われている

「テレビがつまらない」

「斬新な番組がない」

「同じような番組ばかり」

の要因の1つは、そこであるような気がしなくもない。


視聴率を取っている局員に任せれば、の考えが、負の連鎖を生む。

局員からすれば、平均点の視聴率は確保しなければ、「あいつはレギュラーだから数字(視聴率)が取れてただけだな」と思われてしまうので、まずは数字を目指す番組になってしまう。

すると、似たり寄ったりの番組にならざるを得ない。

「あの企画は数字が取れるから入れとこう」となる。昔で言う、ラーメン系や犬系。

ただ、スポンサーあってのビジネスなわけで、視聴率を取らなければ「誰も観ていない番組」になるわけで、そんな番組にはCMを出そうとは誰も思わない。

するとやっぱり、

①視聴率の取れるであろう〝人〟に番組を任せるしかなくなる。

②その〝人〟は、視聴率を取れる企画しかしなくなる。

③同じような番組が続々と出来上がっていく……。


はー、難しいなー、テレビって。

未来のテレビの答えはわからない。あったら、誰か教えてほしい。

ただボクの信念としては、バラエティーでもドラマでも、企画書や台本を書くときは、そのときの自分の面白いと思うものを全力で書くようにしている。

ディレクターや演出からは、「出演者に任せとけばいいよ」と言われる部分もセリフを書く。

なので多少嫌がられてもいるが、そんなことは関係ない。

自分のやりたい仕事をやっているからには、やりたいようにやる。

使われなくなったら、ボクが面白くないだけの話なので。

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