高円寺の商店街を散歩中に立て看板を見つけて、以前から来よう来ようと思っていた店。
しかし不定休なのか、行こうと思った時にはなぜかしまっていた店。
基本は夜のBAR営業らしいが、昼もランチとしてホットサンドを出している店。
『MUSTANG TOKYO』
仕事で高円寺に寄った帰りに覗いてみると、開いていたので入ってみた。14:00ごろ。
1階に靴屋があり、店は2階。
細めの階段を登っていく。ま、どこにでもありそうな小洒落た店内。
右奥の角に小さなDJブースがあり、夜な夜な怪しげなパーティーが繰り広げられているのだろう。
その横の4人席に若い女子の2人組が座っていたので、すぐそばの壁際の2人席に座った。
女子2人は近くに男が座ったことで多少声のトーンを落としたが、恋愛トークをしているらしかった。
ただ、声量は数分で元に戻り、こっちにまで完全に話が筒抜けになった。いかんせんこういう場合、最初は気にするものの、こちらが席に座り、視界の中の内装の一部と化した時点でそれはいないものとなる。
なんてことを思いながら、メニューに目を落とす。
一番好きな瞬間だ。
ランチセットメニューとなっており、好きなホットサンドとサラダとポテトフライとドリンクがついてくる。
さぁ、どれにするか。
上下を見比べる。
『特製 牛タンハンバーグサンド』(1050円)
『サーモンアボガドクリームチーズ』(950円)
『目玉焼き入り ガパオサンド』(950円)
『からあげチキンサンド』(850円)
『納豆クリームチーズサンド』(850円)
『チーズオムレツサンド』(650円)
なるほど。
〈そこいらにあるような普通のホットサンドは出しませんよ〉の姿勢。
〝からあげ〟と言っている時点でチキン以外の何があるのだとの疑問も浮かぶが、〝からあげサンド〟だけでは字面で他のメニューに負けてしまいそうなので足したのだろう。
次はいつ開いているのかわからないので、ここは一番高い『特製 牛タンハンバーグサンド』に絞った。牛タンのホットサンドはあまり聞いたことがないし。
色白なのかファンデーションを塗っているのか判断のつかない中性的を自覚している男子店員が近寄ってきたので注文した。
ドリンクは、カフェオレがなかったのでコーヒーにした。
再三言っているが、サンドウィッチにはコーヒーは合わないのだ。ただ、こんなクソ寒い季節にオレンジジュースなんてすすっている場合ではない。
コーヒーを先に持ってくるようにと頼んだ。コーヒーでいち早く温まろう作戦だ。
なぜ今、作戦、などと面白くもないことを書いてしまったのか、この次の行で後悔しているが、書き直さない。これがこのブログのポリシーだ。
数分して、サラダとポテトフライとコーヒーが運ばれてきた。
ま、ポテトフライがちゃんとアツアツなことによしよしと思いながら、普通のサラダを食し、水で口の中を整えてからコーヒーをすすった。
飲んだ瞬間、本当に吐きそうになった。
大変申し訳ないが、一口すすったときの衝撃がそうさせたのだ。
ベトナムコーヒーに酷似した味だった。
ご存知ない方はどこかの小洒落た店で飲んで欲しい。
コーヒー自体を楽しむのであれば嫌いではないのだが、『ホットコーヒーはサンドウィッチには合わない理論』を唱えているボク。このベトナムコーヒーのような味に至っては、言語道断。
海鮮丼を食べながら牛乳を飲むぐらい、、、いや、ハイロウズのライブに行っているのに2時間座りっぱなしぐらい、、、いや、極限に腹の減った野生のチーターを荒野の真ん中で素っ裸で挑発するぐらい、、、もうわけがわからないが、とにかく、まったくもってありえない組み合わせなのだ。想像できない方は一度一緒に食べてみるといい。
憤慨しながらすぐに水で口を整え、仕方ないので食後に回すことにした。
たった1人でそんな葛藤をしていると、近くに座る女子2人組の会話が聞こえてきた。
要約すると、浮気は絶対ありえない、と言うAさんと、浮気されたことがないからわからない、と言うBさんのゴールのない会話だった。
Aさんは、カレに浮気されて凄く謝られたけど別れた、と息巻く。クリスマス前のこの時期に彼氏がいなくなって、どうしよう、などなど。
それに対してBさんは、アタシのカレはそんなことしないけどな、と返し、でもアタシもクリスマスはカレと一緒にいれないから一緒だね、なんて発言を繰り返す。
そこに、牛タンハンバーグサンドが運ばれてきたので、女子2人の会話は遮断した。
見るからに牛タンがこれでもかと入っている。
ピクルス、オニオン、キャベツをパンとの間に挟み、とろけるようにチーズを配置している。申し訳なさげに、ドンタコスったらドンタコスのチップスも添えられていた。
では一口――――――はい、54点。
食感、ボリュームともに悪くはない。牛タンのほんのりコリコリした歯触り、ガツンと来る肉肉しさ。で、味は、まぁまぁまぁまぁ、と、想像を若干下回る感じだった。
〈素材の味を楽しんでください〉みたいなただの薄味は好きではないのだが、多少、その片鱗が口の中に広がる。
しっかりと独自の味付けを開発してこそ、店舗を開く資格があると思っている。
個人的に思ったのは、キャベツの千切りが肉の味を中和させすぎているのではないかと思う。
ただ、味にパンチはないが、ボリュームに関しては女子では残してしまうのではないかと思うほど。と言っても、サンドウィッチは別腹なので一瞬で平らげたが。
そして、単品で『チーズオムレツサンド』も頼んだ。通常は単品でのイートインはしていないとのことだったが(テイクアウトはOK)、牛タンハンバーグサンドを頼んでいたので了承してもらった。それがこちら。
チーズをちゃんととろけさせよう、との意図が見えた。
では一口――――――はい、59点。
オムレツというからどんなものかと思ったが、丁寧にフワフワ感を残し、画像でもわかるようにチーズもフンダンに入っていた。フワフワとねっとり、両者のバランスが良かった。
全体的にある程度こだわって出しているのだな、と感心しつつも、ではなぜ、コーヒーがベトナムコーヒーの味なのだとの怒りも沸く。
間違いなく言えることは、店長しかり店員しかり、絶対に、このホットサンドとコーヒーを一緒に食したやつはいないだろう、ということだ。
食べ終えたあと、気持ちを切り替えてコーヒーを嗜んだ。
配給係りだけを頼まれた店長の彼女みたいな女子店員が近くにいたので、一応聞いてみた。
ボク「これ、ベトナムコーヒーですか?」
女店員「あ……(中性的な店員に向いて)このコーヒーって、どこのコーヒー?」
中性「ハワイのコーヒーです」
女店員「ですって」
ボク「ああ、〝コナコーヒー〟か……」
女店員「え? いえ、豆からちゃんとドリップしてますよ」
ボク「あ、うん、いや、その粉、じゃなくて」
女店員「?」
〝コナコーヒー〟は高価な豆なので味をよく似せた安い豆も方々で売られている。
これは雑味が強すぎるので、恐らく方々で売られているほうだとは思う。
席を立とうとしたら恋愛話をしていた女子2人も席を立ったので、2分後に店を出た。
ま、高円寺で行くランチが決まらなければ、いつかはまた来てみてもいいかなとは思えた。
『MUSTANG TOKYO』 高円寺
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