快調に妊婦生活を進めている嫁。
心なしか、妊娠してから穏やかになったと思う。
妊娠する前は、というか結婚する前の同棲している時代から、とにかく、何か癇に障ることがあると、基本的にすぐ怒る。
以前にも書いたかもしれないが、喜怒哀楽が激しいほうで、嬉しいコトがあるととても喜ぶのだが、その反動もデカいということ。
嫁は周囲の人に嫌われたくない性分なので、仕事仲間や友人などにはめったにキレない。
しかし、実家の家族やボクに対しては、イイ言いかたをすれば心を許している人には、問答無用で怒りをあらわにする。
外で押さえている分、その爆発もデカいことが多い。
でも最近は優しいお母さんを目指しているみたいで落ち着いていた。
しかし昨日、久しぶりにキレられた。
これはボクが悪いのかどうなのか、読んでくれた人がいれば判断してほしいとすら思う。
昨日は仕事が伸びて夜の22時30分ごろに帰宅した。
嫁は先に帰っていて、ボクが『ご飯も先に食べてていいからな』とLINEしていたから、先に食べていた。
ボクも「帰ってから何か軽く作って食べる」とは伝えていたので、嫁は自分用に作ったおかずを少し残してくれていた。
そこでボクは、お得意のチャチャッと作れる激旨どんぶりを作ろうと決めていた。
どんぶりだけでは足りないので、嫁のおかずはありがたかった。
そしてボクは作り始めるのだが、嫁がリビングからこちらをチラチラ見ている。
「ん? どしたー?」
「んー、ううん」
「ふーん」
ボクは気にせず、もくもくとどんぶり作りに集中する。
玉ねぎがあったので、玉ねぎ丼に決めた。
ボクがなぜ23時前からでも自分で晩御飯を作るか。
それは、旨いものをちゃんと食べたいから。
大学生やサラリーマンのように帰りに牛丼屋などでチョチョっと食べて帰るなんてことは絶対にしない。
ううん、と言ったはずの嫁が、まだこちらをチラチラ見てくる。
出た。気持ちを気付いてほしいオーラ。
そんなものわかるわけはないので、とにかく聞く。「どした?」
するとようやく嫁が言った。「いや、なんか、美味しそうだな、と思って」
ようやく気付いた。嫁は、ボクが作るどんなどんぶりも破壊的に美味いということを知っている。
「んー、じゃ、ちょっと食べるか?」
「うん!!」
今日1のデカい声が返ってきた。
ボクは白米をデカいどんぶりにたんまりと、嫁のお茶碗に半分ぐらいをよそいだ。
そして出来上がった玉ねぎ丼の具をそれぞれに乗せる。
ボクも嫁もつゆだくが好きなので、嫁にも食べやすいようにつゆも注ぐ。
軽く、一味を振る。嫁のお椀にも軽くだけ振る。
それを見た嫁は満面の笑みで食べ始めた。
「んー! やっぱり美味しい!」とかきこむ。つゆが多めで、かきこみやすくなっているようだった。
そうだろうそうだろう、とボクも安心して食べ始める。
――!? そこで突然、嫁が激しくせき込んだ。
「ゴホッ!! ゴホゴホゴホゴホゴホ!!」
ボクも多少驚いたが、よくある、ご飯粒が気管に入ったようだった。
あの苦しさはわかる。でも、ボクにはどうしようもない。
「大丈夫か?」
そんな言葉をかけるしかない。
すると嫁は、なぜか一瞬ボクを睨み、キッチンのシンクへ走る。
そこでも咳き込んでいたが、なんとか多少は収まった様子で戻ってきた。
ただ、無視しています、のオーラを出している。
「大丈夫か?」もう一度いうと、「だから、大丈夫だって」と、大丈夫じゃなさそうな顔でボクを睨みながら言う。
「ご飯粒、気管に入った?」でもボクは慣れているので普通に聞く。
すると嫁が、言った。
「一味、入れすぎたでしょ……」
えええ? 見てたでしょ? 食べる前にも、見えてたでしょ?
つゆだくをかきこんだから、ご飯粒が気管に入っただけでしょ?
嫁は、何か嫌なことがあると、とにかくヤツ当たらないと気が済まない。
怒りは誰かにぶつけないといけない、とさえ思っていると思う。
自分がご飯粒を気管に入れて咳き込んだだけなのに、そこにボクがいたら、それをボクのせいにする。
とはいえ、ボクはそんなことにリアクションはせず、テキトーに受け答える。
そんな嫁の性格も可愛いとも思えるが、それをやるのはボクだけにしてほしいな、と切に願う。
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