2017年6月16日金曜日
嫁の妊娠34 ~またなぜか嫁にキレられる~
最近は毎日、ボクが夕食を作っている。
品数を多くし、サラダも味噌汁も欠かさない。美味しい白米〈青森まっしぐら〉に雑穀を入れて炊いている。
味噌汁はインスタントだが。
そして今日午前10時。嫁は午後から3回目のママさん教室なのでまだベッドの上。
嫁はグダグダと午前中のまどろみを楽しんでいたので、ボクは昨日の晩御飯のおかずの残りをレンジで温めるように言い、デザートに食べるようにとオレンジを剥いて冷蔵庫に入れて家を出る。
こう書いていると、単なる暇なヒモ主夫みたいだが、作家業を選んで良かったと思う。
ボクら作家にはタイムカードはないし、9時~5時に会社にいないといけないわけでもないし、自分の所在地を誰かに聞かれるわけでもない。
番組の台本にしても企画書にしても、小説の原稿にしても、ドラマや映画の脚本にしても、締め切り日までに書けばいい。
打合せや会議の時間もその都度、スケジュールの空いている所で調整する。
つまり、ボクの頑張り次第でなんとでもなる。
ダラダラ締め切り日ギリギリまで書いてもいいし、集中して数時間で仕上げてもいい。
嫁はまどろみの中で「ありがとー」と嬉しそうな表情で送ってくれた。
そんな嫁だが、昨晩のこと。
寝る頃になってボクはベッドに入ったのだが、軽い頭痛に見舞われた。
まぁ我慢できるかな、と思いながら目を閉じたのだが、微妙なズキズキが続き、やっぱり薬を飲もうと立った。
すると嫁もまだ起きていたらしく、「どうしたの?」と聞いてくる。
「なんか、ちょっと軽い頭痛やから薬飲もうと思って」と言いながら、薬箱を探る。
しかし頭痛薬が切れていて、ボクは自分の鞄を探る。
ボクの鞄には突然の事態にも備えられるように常備薬として、胃腸薬、風邪薬、鼻炎薬、頭痛薬を入れているピルケースがある。
「ありそう?」
嫁が聞いてくるので、大丈夫だと思う……と、ピルケースを探る。
しかしそこも頭痛薬が切れていた。
「ああ、なかったか……」
ボクが言うと、嫁が突然、
「だから言ったじゃん!」
と怒鳴った。
ボクは眠たかったからか、寝耳に水で、頭痛もズキズキ、何がどうしたのだとキョトンとした。
すると嫁はバタバタと、いつもの怒っているオーラを物理的に醸し出しながら、自分の鞄を漁り始めた。
「あった」
嫁は乱雑に薬をボクに投げる。そしてふて寝のように掛け布団をかぶる。
ボクはキョトン顔のまま、薬を飲み、少し待ってからベッドに入った。
キレた理由はよくわからないが、薬があって良かった。
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